文部科学委員会質疑


 次に、飯島夕雁さん。

○飯島委員 自由民主党の飯島夕雁でございます。

 本日は、公立義務教育学校の学級編制や教職員の定数といった、まさに現場にかかわる法律の改正について質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 そう申しますのも、先ほど来よりいろいろ質問が出ておりますが、本当に昨今の学校現場は、学校の先生方は大変でございます。子供はもちろん、保護者や地域から求められているニーズは本当に多岐にわたっており、以前と比べまして保護者の満足度というのも非常に高くなっている、これが学校の先生の頭を悩ませているという現状があるように感じられております。

 先生たちは、非常に多忙、また多角的な即戦力を求められるようになっておりまして、先ほど別の議員からも指摘がありましたように、休職している学校の先生が七千人を超え、さらに精神的な理由で四千人を超える休職者という衝撃的な数字についても、これも学校現場で働く先生方が大変な実態にあるということを反映しているものではないかと心配をしております。

 しかし、そんな中の一つの取り組みとして、今回、平成十九年の学校教育法の改正で、学校の運営体制の充実を図るため、主幹教諭などの新たな職を置くことができるというふうになったわけでございます。そして、今回、主幹教諭の機能が十分に発揮されるためには、学校の運営に係る業務に従事する時間を十分に確保することが必要ということを認識されまして、主幹教諭の担当授業時間の軽減をする目的で新たな教員の配置を行う、いわゆる学校運営体制の整備のための加配措置が定められることになったというふうに私は認識しております。

 主幹制度がこれから発足、始動するに当たり、本当に現場に即して、この魅力を十分に発揮し、子供たちの健全育成や学習指導の充実、教員の人材育成、そして学校運営などに力を発揮するようにできることがとにかく大切だと思いますので、今回の加配措置については大変期待をしているところでありますけれども、改めて、いろいろ混乱や不安も生じているようですので、主幹の求められている役割、それからまた主任と主幹の違いについても教えていただきたいと思います。確認させてください。

○金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 学校をめぐるさまざまな課題に効果的に対応していきますためには、学校の組織力を高めることが重要でございます。このため、昨年の通常国会で学校教育法を改正いたしまして、主幹教諭等の職を学校に置くことができることといたしますとともに、平成二十年度予算案におきまして、学校の規模等を勘案し、効果的かつ効率的な学校運営を図るため、主幹教諭の担当授業時数を軽減し、主幹教諭がその機能を十分発揮することができるよう、千人の教職員定数の改善を盛り込んでいるところでございます。

 こうした主幹教諭の制度を設けることによりまして、学校の実情に応じて、校長や教頭と教諭との間に置かれた主幹教諭が、校長等を補佐し、任された校務の一部を整理することを通じて、例えば組織的な生徒指導や個に応じたきめ細かな教科指導など、教育現場が抱える課題により的確にこたえることができるような体制となり、学校運営の改善が図られるものと期待をしているところでございます。

 次に、主任と主幹教諭の違いについてのお尋ねでございますが、主幹教諭の職務は、命を受けて、担当する校務について一定の責任を持って取りまとめ、整理し、他の教諭に対して指示することができるものでございます。主任の職務が、担当する校務に関する事項について連絡調整及び指導助言を行うことにとどまるものであることと比較いたしますと、主幹教諭はその権限と責任において異なるものでございます。

 また、主幹教諭は都道府県教育委員会が任命する職でございまして、学校を異動いたしましても主幹教諭としての身分は変わるものではございません。それに対しまして、主任は市町村教育委員会や校長の職務命令により当該学校における校務分掌の一つとして命じられるものでございますことから、当該学校を異動した場合には新たに主任を命ずる必要があるわけでございまして、以上の点が主任と主幹教諭の違いでございます。

○飯島委員 ありがとうございます。

 確かに、高まるニーズの中で、しかし限られた学校の先生の数の中で、組織力をまさに生かしてやっていかねばならない、そういうことができることによって、先生一人一人が悩みを抱えて精神的に追い詰められていくというようなことも防いでいけるのではないか、このように思っております。そういう意味で、主幹制度に大きく期待するところであります。

 しかしながら、今回、主幹制度、現実に早い段階から主幹制度を導入しているケースもございまして、例えば、東京などの現場で話を伺いますと、学校運営にさまざまな向上が見られたという報告がある一方で、また、先ほど来より指摘のありました、主幹教諭自身は主幹業務と現場業務の両立で大変多忙であるといったような話も聞こえてまいります。

 具体的には、物すごく忙しいんだけれども手当は五千円ぐらいしか違いがないということで、処遇面の魅力が乏しいですとか、時に管理職の下請になってしまう、あるいは、婚姻や出産、親の介護などが発生して一般教諭に戻りたい、ちょっと荷が重過ぎるというような個人的な事情が発生した場合であっても、一度主幹になってしまうと一般教諭に戻れないといった制約がありまして、教員が主幹選考に消極的になってしまっているという側面が指摘されております。

 また、教務主任だとか学年主任といった主任を兼務することが条件になっているというのも大きな足かせになっている部分があるのではないかと思います。

 これは、東京についての一例でございますけれども、こういった状況がある中で、学校現場の管理職からは、何とか、せっかくやる気のある、そして力のある、なってほしい人が主幹を希望してほしい、そういう思いも聞かれております。また逆に、現場の主任教諭の方が十分にしっかり頑張っていまして、主幹制度の資格は取りましたけれども案外不適格ではなかったかというような人材がいることもしばしばあるようにも聞いております。

 本当に頑張ってもらえる人材が欲しいという切実な声がある中で、こういったいろいろな実例を踏まえまして、主幹の弾力化というものも考えていく側面があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○金森政府参考人 お答え申し上げます。

 主幹教諭が、その力を発揮して、学校の組織力を高め、学校をめぐるさまざまな課題に効果的に対応していきますためには、その職に適格者を得ることが重要でございます。

 文部科学省といたしましては、適切な選考を実施し、真に主幹教諭としてふさわしい者を任用するよう、各教育委員会等へ指導をいたしているところでございます。

 なお、主幹の弾力化ということについて御指摘がございましたが、一度主幹教諭に任用した者でございましても、任命権者である教育委員会等の判断により、本人の希望に基づいて一般の教諭への降任を認めるといった取り組みも考えられるところでございます。

○飯島委員 ありがとうございます。

 今のところ、各都道府県それぞれに、主幹というものについての制度を認識している段階なのではないかと思います。これからスタートするわけでございますので、どうか、今まで既にスタートしている東京のような地域、そういった例も踏まえながら、主幹制度の活用の仕方、これを活用することによって、本当に、文部科学省でもさんざん話しております、教員が現場で子供たちと向き合える時間をつくっていくのだという、このキーワードになる制度なのであるということを、文部科学省としてもぜひ積極的にPRをしていただきたいと思っております。

 そう言いますのも、先ほど北海道の教頭の話が出ておりましたけれども、教頭試験の希望者が激減しているという話の中でありましたけれども、実は、教頭先生だけでなくて、私の地元の北海道の学校現場では、いまだ主任という制度に対するアレルギーも根強く残っているのでございます。本来、主任制度についても、これから導入を始めようとしている主幹制度も、目的は、子供のための、また学校の先生のためのよりよい学校教育現場の実現にあるはずであります。

 しかし、教育の中に上下関係をつくらない、そうした趣旨がアレルギーの中にもあるように思うんですが、限りある人材で、先ほどお話があった組織力を十分に生かしながら頑張ってもらうには、頑張っている先生がその仕事にやりがいと責任を持って取り組むことができる、そういう環境づくりをしていく、そういうことで初めて子供たちに、あるいは保護者に対してきちんとした学校の役割が果たせるものだと思うんですが、こういった混乱が既にある中で、主幹制度がうまく北海道にも導入されればよいなと非常に心配しているところでございます。

 こうしたことについて、大臣、どのようにお考えでおられますでしょうか。

○渡海国務大臣 主幹制度の趣旨等については、きょうの議論の中でいろいろやりとりがありました。現場でこれがうまく運用されるように、我々も努力をしていかなきゃいけないというふうに思っております。

一方、北海道で、まだ主任制度について、まだと言うとしかられるかもしれませんが、いろいろと問題があると。昨今も新聞記事が出ておりました。

上下をつくらないことがいいことなのかと言われますと、必ずしも一概にそれがいいことだとも思えないんですね。上下というのは一つのルールであって、例えば意思を伝達していく、また責任体制をどうやってとっていくかというときのルールであって、そのことによって、人間関係と信頼関係がしっかりしていれば、何もそれは管理体制ではないわけでありますから、そういったところをやはり理解して、ちゃんとやっていただきたい。

 私どもの兵庫県も、実は一時、随分いろいろな問題がありました。だけれども、今は余り聞いておりません。

 この主任制度について、やはり、しっかりとその趣旨が図られるように、まず教育委員会として努力をしていただきたいと思いますし、いろいろな対応はとっていただいておるようでございますが、単に主張をぶつけ合うだけではなくて、よく話し合っていただいて、そういったことにならないようにやっていただきたいなというのが正直な気持ちでございます。

 その上で、当然、この主幹という制度につきましても、先ほどから御説明を申し上げておりますように、都道府県教育委員会が学校規模とかそういった地域の実情とかに応じて配置をするわけでございますから、また同様なことにならないように、さらに教育委員会の方において努力をしていただきたいというふうに考えております。

○飯島委員 ありがとうございます。

 私も、地元の学校の先生とお話しする機会がありまして、毎日の夕方や、それから休日を返上して部活動の顧問をやってくださっている先生、それから子供に向き合うのがとても上手な先生、そういった先生が本当に頑張っている実情を目にしております。そういった頑張っている先生には、やはりきちんと頑張ったなりの評価を受けてもらいたい、そういうふうに見返りをきちんと受けてもらいたいというふうに思うんですね。また、それから、学校運営に対して非常にすばらしいセンスを持っている先生もおられます。

 ですから、現場が得意な先生、学校運営が得意な先生、いろいろな先生がそれぞれの場面でそれぞれの能力をしっかり発揮してもらうということが大切でありまして、それをきちんとまた外部も評価をして、その力を高めていってもらうということの中に主幹制度も位置づけられるのではないかと思っております。

 そういう意味で、今回、主幹制度がうまく導入され、学校運営の方に抜群のセンスをまた発揮してもらいながら、学校現場でしっかりと力を発揮できるような主幹が一人でも多く生まれることを期待するわけでございます。

 国会議員も省庁も、私たちが常に気をつけていかなければならないのは、法律をつくったり今回のように改正するときに、さまざまな現場の実情を踏まえるということは当然だと思いますけれども、その現場の実情を踏まえるときに、うまくいっているケースというのはしばしば大変わかりやすいわけでありますが、あえて、混乱しているというか問題を抱えている、そういうケースをしっかり見きわめながら、そうした現場が本当に使える制度であるかどうか考えながらつくっていくことが大切なのではないかと思います。

 そういった不安があるがゆえに、先ほど来より聞いておりますと、同じような質問が繰り返されているのではないかと思うのですが、しかし、私は、この主幹制度、そしてそれに対する加配措置、これは大切な一歩であろうと思います。

 今回は千人の加配でありますけれども、主幹という制度がきちんと認知され、そして機能していけば、当然、千人では足りない、もっと概算要求をして、主幹制度を十分に活用して、そして加配措置ももっと文科省の予算としてとっていくような、そのぐらいの迫力を持って臨んでいけるきっかけになるものでないかと思うんです。

 ですから、まだ足りない、これが足りないという議論の前に、まず一歩進めてみる。組織力をしっかりと学校教育の現場の中においても、これも組織でございますから、組織力をしっかり高めていくということをする、その大切な一歩として、今回の法改正は十二分に吟味しながら、そして役立てていく必要があると思います。

 そうした意味で、主幹制度、またそれに係る加配措置を全国に普及させていくために、大臣として今後どのようにまた取り組んでいかれますでしょうか、お聞かせください。

○渡海国務大臣 まず、きょうも御議論をいただいたわけでございますが、この主幹制度によって何を意図しているか、また、組織力を上げていくということにおいて、これをやっていただくということを十分都道府県に伝え、そして、それと同時に、やれやれと言うだけではだめなわけでありますから、そのことによって学校現場に新たな負担が生じないように、今先生がおっしゃった、我々自身、予算また人員配置、これをさらに充実するように今後とも努めてまいりたいというふうに思っております。

○飯島委員 ありがとうございます。

 学校の先生というのは聖職でございますので、何か事件があるとすぐメディアに取り上げられます。何か悪いことがあると、本当に不祥事だ、不祥事だということで新聞でもテレビでも取り上げられておりますけれども、そういった事件があると非常に悲しく残念に思う一方で、しかし、現場のほとんど多くの先生は、本当に子供たちのことを思い、一生懸命頑張っております。そして、この文部科学委員のメンバー、ここにおりますメンバーみんな、そうした頑張っている先生たちを何とかしっかりと守っていける体制づくりをしたいということで、気持ちは一致しているのではないかと思います。

 そうした目線の中から、学校現場をよりよくし、そして、教職員の先生方の働く環境がしっかり充実させられることによって、ひいては子供たちに安心していい教育を、情報提供ができるという中で、前向きにとらえていくことが何より大切かと思います。
 今後、今回のスタートは千人でございますが、全国的にスタートするこの主幹制度、この成功事例等も今後出てくることだと思いますので、そうしたものをまた各都道府県の教育委員会、地方自治体の教育委員会などにもぜひ啓蒙、啓発していただきまして、そして、新しい工夫が現場から生まれてくるようにお願いを申し上げまして、質問とさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

○佐藤委員長 以上で飯島夕雁さんの質疑は終了いたしました。