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平成18年5月24日 「83会・地方を語る会」
社会資本は世代を超えて受け継がれていくものであり、その整備、評価はフローではなく、ストックで論じられるべきである。
我が国よりも社会資本整備の歴史の長い主要欧米先進諸国と比較した場合、
欧米諸国においては基本的なストックが概成しているうえに、近年既存ストックのグレードアップなど戦略的な投資増が図られている。
一方、我が国においては社会資本、特に道路の基本的なストックが大幅に不足しており、
今後着実な投資を行う必要があるにも拘らず、
近年の厳しい財政制約のもとで投資を抑制せざるを得ない状況にあることは憂慮に堪えない。
少子高齢化社会を迎える21世紀の我が国において、特に団塊ジュニア世代が定年を迎える20〜30年後までの間に、
道路を含む社会資本の基本的なストックを整え世代を超えて受け継ぐことは、
将来世代への責任という点において国家の財政再建という現下の最重要の政策課題と同等の重要性を有するものと考える。
加えて、来るべき地方分権の時代においては地方が自主・自立の精神で競争することを求められることや、
限界に近づきつつある大都市の過密状態を地方に分散し市民生活の質を高めていくという観点から、
道路整備の重点については、従来の大都市中心(大都市間、大都市−地方都市間)から地方(地方都市−地方都市間)
に徐々にシフトして行くことや、地域の生活道路の充実等へ整備の基本方針・優先順位の見直しを行う必要があるものと考える。
以上の基本認識を前提として、当会は以下のとおり今後の道路整備の基本的考え方について提言する。
(1)「必要な道路は作る」の原則
1. 道路整備は、今後とも、もの作り、物流、観光、企業誘致等の地域経済振興、
日常生活の利便性向上、災害時の避難路・代替路や高度医療へのアクセス確保のために
必要性は増すことはあっても減じるものでは全くない。
特に、地方部における道路整備は、地域の「自立」のための最も基本的な基盤整備として
位置付けられるものであり、これを行わずして不公平な競争条件のもとでの地域間競争を強いることはできない。
また、道路交通の安全確保の要請から不可避的に生じる道路補修の必要性は今後、飛躍的に増大することが見込まれている。
2. したがって、道路整備については、「必要な道路は作る」ことが不可欠であり、
この旨は、昨年末の政府・与党の「道路特定財源の見直しに関する基本方針」(以下「基本方針」)においても明言されている。
(※)「道路特定財源の見直しに関する基本方針」
(平成17年12月9日政府・与党)(抄)
「1.道路整備に対するニーズを踏まえ、その必要性を具体的に見極めつつ、真に必要な道路は計画的に整備を進める。」
3. もちろん、道路整備に当っては、当該道路整備の目的が達成される範囲において、基本方針にも示されている通り、その「厳格な事業評価や徹底したコスト縮減」に最大限の努力を払い「重点化、効率化」すべきことは当然である。道路規格の弾力化など「必要な道路を『必要最小限のコストで』作る」べく検討を深めるべきである。
(2)「必要な道路を作る」ための財源のあり方
4. このため、「必要な道路を作る」ための財源のあり方については、「出ずるを図って入るを企てる」、すなわち、まずは整備を行うべき道路の姿を明らかにした上で、これに要する費用の調達のあり方を議論するべきであり、いずれの意味においても金目の議論を先行させるべきではない。
5. もとより現下の厳しい財政状況に鑑みれば、「財源があるから事業を行う」というアプローチは適切ではない。道路特定財源についても、「必要な道路を作る」ために要する費用を賄った上でなお余りある場合においては当該余剰部分について、基本方針にある通り「特定財源の使途のあり方について、納税者の理解が得られるよう」議論することは、必ずしも否定するものではない。
6. 他方、今後整備を行うべき道路の姿・整備の工程を示すことなしに、シーリングという形で道路整備の歳出予算額だけを縛るアプローチも、道路特定財源を負担する納税者の理解を得るものではなく、適切ではない。道路特定財源は、そもそも道路整備を行うという名目のもとに納税者に負担をお願いしているものであり、「財源があるにも関わらず、事業は行わない」ということでは、およそ「納税者の理解」が得られるものとは考えられない。
(3)改革への提言
7. したがって、道路整備・道路特定財源について、基本方針を踏まえ、「納税者の理解を得つつ、」今後の改革を進めていくためには、「真に必要な道路」について「計画的に整備を進める」ため、団塊ジュニア世代が定年を迎えるまでの30年後までを見通した『道路重点整備戦略』を策定し、以下の事項を納税者・国民に示す必要がある旨、提言する。
イ)「必要な道路は作る」原則の再確認
ロ)10年後、20年後、30年後のわが国の道路の姿の国民への提示
ハ)上記に基づいて、今後10年間に行うべき道路整備の工程、優先順位
二)上記に必要となる経費の積算(含 道路補修の経費、「厳格な事業評価や徹底したコスト縮減」方策による効率化効果)
8. 過去の改革の成功事例には、例えば、郵政民営化法の成立までに、
法令の文言や国会審議における総理・閣僚の発言を通して、国民に郵政民営化後の姿(「郵便局ネットワークは無くさない」
「民業圧迫は生じさせない」ほか)を提示し、関係者・国民の理解を1つ1つ丁寧に得てきた例がある。
道路整備は、郵政事業に勝るとも劣らないほど国民生活に重要な影響をもつものであり、
郵政民営化改革以上に、丁寧な国民への説明を心がける必要がある。
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