−地域医療を守るための緊急提言−2006年12月13日(水)




これからの高齢者医療のあり方について
平成18年12月13日
83会・地方を語る会

昭和31年に「へき地保健医療計画」が策定され、わが国における無医地区、無歯科医地区は減少し、ほとんどの地域で一定の保健医療サービスの確保がなされつつあります。
一方で、医療の高度化に伴う医師の専門分化、少子化の影響による家庭の育児能力の脆弱化などにより、近年、小児科や産科など特定の診療科の医師不足が顕在化しています。さらに、高齢化に伴う医療需要の拡大、人口の減少等により、地方や過疎地など、特定の地域では医師自体の確保が困難を伴う地域が存在し、また多死時代を迎えるにあたり高齢者の看取りの場の問題など、わが国の地域医療をめぐる課題は山積しています。
すべての国民が、いつでもどこでも安心して暮らせる公平な医療を守るために、以下の点について提言いたします。

1.「医療計画」 について
「医療計画」の策定にあたっては、各都道府県の疾病構造と各都道府県にある医療資源をもとに、どの医療機関で、どのような医師が、どのような医療を提供するのか、急性期から回復期を通して退院まで、切れ目ない医療が受けられるような医療連携体制を各地域に構築する必要がある。
当該地域の医療提供体制の現状を客観的・具体的に把握するため、以下の早期実現、拡充をはかること。
@ u−Japan特命委員会で提言された、医療保険に関わる全ての診療報酬明細書(レセプト)のオンライン化 を着実に実現すること。
A 全医療保険者において「健康診査・保健指導」を拡充すること。また、医療費適正化計画と整合性を図りながら実施目標を掲げること。

2.医師の養成のあり方について
1)「専門医」 の養成のあり方の見直しについて
@ 医療連携の観点から、専門医とかかりつけ医(総合診療科医)、それぞれの役割分担を明確にすること。
A 役割分担を明確にした上で、現行の専門医の養成方法のあり方を評価する仕組みをつくること。
B 将来的には、わが国の疾病構造に基づいた真に必要な専門医数を算出した上で、専門医の養成をすすめていく仕組みをつくること。
2)「総合診療科医」 の養成について
@ 地域医療を担う「総合診療科医」の養成をすすめるため、2年間の医師卒後臨床研修制度に加え、その後も継続して総合的な医学教育を受けられるよう、地方自治体に設けられている「へき地医療支援機構」など地域医療を支えるための組織を有効に活用し、大学とも連携した教育・研修組織をつくるなどの対策をすすめること。
A 医学教育では、文部科学省と厚生労働省が連携し、医学教育の段階から総合診療科を位置づけた継続的な教育を行うこと。

3.第二の住まい(終の処、ついのすみか)作り
高齢者が在宅で療養を続けることは、特に独居の場合や老々介護の場合など、現状の介護マンパワーや、わが国の在宅事情等をかんがみると在宅医療には限界がある。一方で、介護療養型医療施設が2012年を目途に廃止 されることが決まっており、高齢者が安心して高齢期の生活を送ることができる第二の住まい(終の住処)作りが必要である。
そこで、駅前の空き商店街や空き校舎などの街の中心の使われなくなった施設を公営住宅や高齢者向け優良賃貸住宅として改修し、また、古い公営住宅を活用して高齢者・患者向けの賃貸住宅とするなど、高齢者の住まいの環境整備を推進する。市街地であることで、医療機関等へのアクセスもよく、さらに近隣の空校舎や幼稚園等を改修し小規模多機能施設を併設し、訪問看護・通所看護、デイサービス、ショートステイ等を組み合わせた在宅医療、在宅看護を提供する体制を構築し、第二の住まい(終の住処)作りをすすめること。(別添資料参照)
又、介護療養型医療施設に替わって、医療と介護の両方を提供できる新しい施設の検討を早急に行うこと。

@ 厚生労働省「地域介護・福祉空間整備等交付金」予算の拡充
A 国土交通省「地域住宅交付金」予算の拡充

4.遠隔医療の推進
地域や過疎地において、総合診療科医が都市部の専門医の意見・判断を仰ぐことができるほか、無医地区あるいは専門医がいない地域においては、市民や患者が安心して医療相談ができる手段として、遠隔医療を推進すること。
 @ 夜間小児科医がいない施設と小児科医が常駐している施設との連携
 A 病院が遠方あるいは夜間に受診の必要性があるか否かの医療相談(あくまで診察ではない)
5.その他 
地方では、病院収容前の的確な処置いわゆるプレホスピタルケアの充実が大前提となる。治療開始までの遅れの原因である(1)患者による遅れ(患者自身が問題の重要性を把握できず,救急医療を求めるのが遅れる(2)入院前の評価、治療、搬送に要する時間(3)病院における診断と治療開始までの時間、があげられることより、一次救命処置を含めた一般市民や患者および家族への教育、市町村レベルでの救命救急センターを核としたネットワーク整備,および二次救命処置の充実を目指し救命救急士の育成、高規格救急車の普及、ドクターカー、ドクターヘリコプターの配備をすすめること。
又、過疎地、へき地、離島をはじめ、医療機関までの搬送に多大な時間を要する地域については、各地の自衛隊への協力要請が必要である。


「83会・地方を語る会」

衆議院議員  赤 澤 亮 正  阿 部 俊 子  飯 島 夕 雁 
井 澤 京 子  近江屋 信 広  小 里 泰 弘
小 野 次 郎  片 山 さつき  北 村 茂 男
木 挽   司  佐 藤 ゆかり  杉 田 元 司 
関   芳 弘  土 井 真 樹  とかしきなおみ 
永 岡 桂 子  長 崎 幸太郎  長 島 忠 美 
中 森 ふくよ  西 本 勝 子  丹 羽 秀 樹 
橋 本   岳  平 口   洋  広 津 素 子
福 岡 資 麿  藤 井 勇 治  武 藤 容 治
(五十音順)

以上