北海道夕張市の自立・再生の課題


夕張市は、いま、必死に財政再建に取り組んでいる。こうなった原因は市による不適正な財政運営にあり、徹底した行財政改革で財政再建を図るべきことは言うまでもない。一方、夕張市では炭鉱の閉山以来、人口がピーク時の1割近くまで急激に減少するとともに、人口の4割に及ぶまでに高齢化が進んでおり、財政再建と併せて地域の自立・再生は極めて困難な課題である。
 人口の急減や超高齢化に悩む地域の再生・自立を検討するため夕張市を視察し、地元関係者と意見交換した際に要請された検討課題は以下の通りであることを報告する。なお、可能な限り支援の手を差し伸べるべきと考える。

1 円滑な財政再建に対する支援(総務省)    財政再建期間の短縮等を図るため、金利負担軽減措置を講ずること

現行法では、財政再建債の発行が認められていないため、準用再建団体は、財政再建が果たされるまで毎年度一時借入金の借換えを繰り返さなければならない。
18年度末における夕張市の一時借入金は約360億円に達する見込みだが、計画的、安定的に財政再建を進めるためには、資金の確保や金利水準が課題。
このため、長期で安定した資金と金利の確保ができる制度改正が必要。

2 地域経済活性化のための支援(経済産業省)    炭鉱遺産を活用した観光振興や新産業の創出など「夕張プロジェクト」の策定と推進を図ること

夕張市においては、これまで「炭鉱から観光へ」を合い言葉に、石炭博物館 をはじめとする炭鉱遺産やスキー場などの観光振興に取り組んできたが、今後は市の財政再建に伴い、不採算の観光事業に対する市からの財政支出がなくなることから、地域の再生のためには、民間主導による事業展開への移行がキーポイントになる。
このため、炭鉱遺産や夕張メロンなどの地域資源を活用した振興や高齢化率全国一といった地域特性に適した民間主体の新たな産業創出に向けたビジョンづくりを作成し、地域経済の活性化を図る必要がある。 

3 万全の雇用対策の推進(厚生労働省)
   これまで市が主体となって進めてきた観光事業の見直しなどに伴う離職者の発生に対応し、雇用の確保のための助成措置など雇用対策の充実を図ること

平成18年12月21日に、夕張地域が雇用維持等地域に指定されたところであるが、国による助成制度の一層の活用が図られるよう、雇用調整助成金の助成率の引き上げや緊急就職支援者雇用開発助成金の支給対象年齢の拡大などを図る。

4 超高齢地域における保健医療サービスの確保(厚生労働省)
   公設民営化方式による保健医療センター設立など、夕張市が新たな高齢化社会のパイロットスタディーとなるような規制緩和や支援措置を講ずること

高齢化率全国一の夕張市をモデルとして、医療機関と多機能な施設の併設や予防医療や高齢者の健康づくりなど保健医療の連携による少子高齢社会に対応した新たなシステム構築などに取り組むことは、夕張市にとっても、同様の課題を抱える全国の過疎地域にとっても有効。

5 積雪寒冷地の特性を踏まえた交通基盤の確保(国土交通省)
   除雪に関する国、北海道、夕張市の連携による効率的除雪システムの確立に対する支援措置を講ずること

降雪・積雪状況に応じて国、道、夕張市が連携協力して効率的な除排雪を行うシステムづくりに取り組むとともに、道が国の補助を受けて購入した除雪車両の夕張市への貸与・譲与についての承認など。

6 公共事業の整備促進(国土交通省)    国直轄事業や高規格幹線道路の整備促進を図るとともに、地元中小企業者の受注機会の確保に努めること
法に基づく財政再建期間中、市が発注する公共事業は極めて限られたものとなり、地元建設事業者は重大な影響を受けることから、夕張市内で施行される国直轄事業の予算や地元業者の受注機会を確保。

7 夕張市への誘客支援(関係省庁)    国の機関や所管団体等による会議を夕張市において開催するなど誘客拡大に向けた協力に努めること
 
夕張市における今後のホテルや観光施設の運営管理状況を踏まえ、地域経済への波及効果が大きい観光振興のため、様々な機会を通じて、国の関係機関や所管団体および民間企業等に対し、夕張市での会議やイベント等の企画・実施について協力を求める。

以上